生成AIの効果を最大限に引き出すためには、プロンプトの設計(プロンプトエンジニアリング)が重要な要素となります。DifyはノーコードでAIアプリを構築できる反面、プロンプトの設計次第で応答の質が大きく変わります。
本記事では、Difyにおけるプロンプトエンジニアリングの基礎から応用までを体系的に解説します。
出典:Wikipedia「Prompt engineering」
プロンプトエンジニアリングとは何か
プロンプトエンジニアリングとは、LLMに対して「どのような出力を求めるか」を明確に伝えるためのテキスト設計技術です。具体的には以下を含みます:
- 命令(Instruction):目的やロールの定義
- 制約(Constraint):出力形式、文字数制限、参照資料など
- 文体(Style):語調、フォーマル・カジュアルなど
Difyにおけるプロンプトの構造
Difyのプロンプトは「Basic Mode」と「Expert Mode」に分かれており、用途や技術スキルに応じて使い分けます。
- Basic Mode: シンプルなテキストベースでプロンプトを設計可能
- Expert Mode: 複数のメッセージ構造(System, User)と条件分岐などを細かく設計可能
命令・制約・文体を使い分ける方法
効果的なプロンプト設計には、命令、制約、文体を明確に記述することが鍵です:
あなたは法律に詳しい社内サポートAIです。以下のルールに従って回答してください:
- 回答は200文字以内
- 「〜です・ます」調の丁寧語を使用
- 確実に社内ルールから引用して回答する
テンプレート活用と変数の設定
Difyではプロンプトに変数を使用することで、動的な応答が可能になります。主な変数には:
{user_input}:ユーザーの入力{{knowledge}}:RAGによる検索結果{name}、{department}など:外部入力フォームから渡すパラメータ
LLMごとのプロンプト調整ポイント
Difyは複数のLLM(GPT-4, Claude, DeepSeekなど)に対応しています。LLMによってプロンプトの解釈に違いがあるため、以下の点に注意が必要です:
- OpenAI(GPT系): Systemプロンプトの影響が強く、構造化が有効
- Claude系: 長文プロンプトを好むが、冗長すぎると曖昧になる傾向
- DeepSeekなど中国系モデル: 英語や構造的命令に強み
業務に使えるプロンプト設計パターン
- FAQ応答型:
あなたは社内FAQに答えるAIです。「{{knowledge}}」を使って、質問「{user_input}」に100文字以内で回答してください。 - 文書要約型:
次の文書を500文字以内で要約してください:{{knowledge}} - 翻訳・校正型:
{user_input} を日本語で丁寧なビジネス文に言い換えてください。
まとめ
Difyのプロンプト設計は、簡単な操作ながらも高度なチューニングが可能です。目的に応じた命令、制約、文体の使い分けと、変数やテンプレートの活用により、現場に即したAI応答が実現します。
LLMの特性を理解し、適切にプロンプトを設計することで、Difyの真価が発揮されます。
次回予告
次回の【Dify連載11】では、「Difyでのアプリ公開・共有・埋め込みの方法」と題して、作成したアプリを社内外で利用・展開する方法を紹介します。